- 歯の矯正治療は何歳頃から始めるのが良いのでしょうか?
- 結論から言いますと、不正咬合に気づいた時がその人にとって一番良い時期なのです。
しかし、小さい時から始めないといけないものと、大きくなって始めて良いものとがあります。
小さい時にはじめた方が良いのは顎の発育をうながしたり、逆におさえたりすることができる時期に治せる不正咬合の場合です。
例えば反対咬合や上顎前突の子供の場合です。
これは顎の発育の問題が関係しますので、通常第一段階の治療時期として小学校2年生から4年生くらいの間で、受け口や前歯の出ている人は、治療をお受けになることをおすすめします。
しかし前歯の治療をしていても永久歯が生え揃う小学校6年生頃に反対咬合になったり、上顎前突になったり、でこぼこの歯並びになる人がありますがこのような場合は再度治療が必要になります。
前歯の治療はあくまでも予防処置的治療ですので、その後の個人の成長や遺伝的要素が大きく影響します。
ですから前歯の治療の全てが無駄という訳ではありません。
いずれにしてもその子供に合った治療開始時期がありますので、不正咬合に気づかれた時に矯正歯科専門医院にご相談されることをおすすめします。 - 矯正治療は何歳までできるのでしょうか?
- 歯は何歳になっても動きますので歯と歯をささえる歯槽骨と歯肉があれば何歳でも治療できます。
これは私の医院で治療させて頂いた例ですが、50歳の上品なご婦人が来院されまして、上顎前突で口元が前へ出ているのを気にされていました。しかしなぜ今から治療をされるのか問いましたら、「今日が結婚25周年の記念日ですが、娘時代からこの25年間人知れず悩んできました。
今日ご主人に相談して結婚記念日のプレゼントとして矯正治療をしたいと言うと、快く承諾してくれました。永年のコンプレックスを解消してこれからの人生を楽しく生きたいのです。」とのことでした。治療には約2年半かかりましたが、治療前と治療後の顔写真を見比べて驚いておられました。口元はスッキリしてきれいになられました。
またお化粧ののりが良くなり両耳には可愛いピアスをされ、オシャレをして人生を楽しんでおられるようでした。
口元や歯並びを気にされている方は矯正歯科専門医院にお気軽にご相談ください。 - 不正咬合になる原因はどんなことが考えられますか?
- 大きく分けて2つの原因が考えられます。それは遺伝的原因と環境的原因です。
●まず遺伝的原因と思われるのは上顎前突、つまり前歯が前方へ出ている人とか受け口の人はあきらかに家族性であるとされています。それは親子の顔が似るのは顎の形や顔の骨格の特徴が似るからです。つまりDNAが引き継がれているからです。
しかし家族の中で一人だけ反対咬合になり、それも下顎が異常に前方へでてくる真性の下顎前突がありますがこれは劣性遺伝といわれ突然現れる遺伝と考えられています。
下顎過成長と言います。いわゆる三日月形の顔の人は上顎と下顎の大きさが逆転していますので矯正治療だけでは治すことはできません。そこで口腔外科と医療チームを組み話し合いをしながら矯正治療の途中で、顎の骨を切って短くする手術を行います。
この治療には矯正治療費も保険が適用されます。
●次に環境的原因ですが、これを先天的原因と後天的原因にさらに分けます。先天的原因は口蓋裂、兎唇や歯の数の異常その他があります。お母さんの体内にいる時になんらかの原因で起きるとされています。
●最後に後天的原因についてお話しましょう。日頃の日常生活で知らない間に悪いクセがついた状態で起きるものです。指しゃぶりや唇を噛む子供がいますが、これは前歯の上と下のすき間に大きなすき間が空いて前歯が前方へ押し出され上顎前突の原因になります。 - 歯を抜かずに治療することは出来ますか?
- 歯を抜かないで治せる場合と、抜かなければ治療ない場合があります。
日本人の顎の大きさや歯の幅の問題から歯を抜かないで治せる割合が低く、大学院などのデータによりますと歯を抜かないで矯正治療ができる症例は30%以下とされています。
「歯を抜かずに治る矯正治療」などの広告や本がでていますが、全ての人にあてはまる訳ではありません。顎が小さかったり顎に比べて歯の幅が大きかったら歯はきれいに並ぶことはできません。
また、でこぼこに生えた永久歯の歯並びを無理やり大きく拡げて歯を歯列に押し込んでも、口の周りの筋肉の力で歯列が内側へ押されて、元に戻ろうとします。外見的にも日本人の口元は前へ出ている人が多いので、歯を抜かずに矯正歯科治療をした場合口元がとび出て唇が閉じにくくなり、いつもお口が開いた状態になります。
以上の理由で現在の矯正歯科治療では犬歯の後の小臼歯という歯を合計4本抜いてすき間を作り、歯を移動させて歯並びを整えるのがほとんどの人に適用される治療方法となっています。